歴史遊歩エッセイ「温故知新の鎌倉遊歩⑥」                   ~紅葉の名所・瑞泉寺から獅子舞谷へ~

今年の日本の夏は記録的な暑さとなった。秋暑(秋に入ってもまだまだ暑い意味)とは言え、紅葉の美しい季節になり、赤や黄色に色づく紅葉は見ているだけで心が和む。11月の束の間の秋を楽しもう。秋の散策といえば紅葉狩り。
今回の散策コースは≪鎌倉駅東口5番バス乗り場(鎌倉宮行き)~バス(10分)~鎌倉宮~瑞泉寺~天園ハイキングコース(途中で獅子舞谷の看板がある所を左に曲がる)~獅子舞谷~永福寺跡~鎌倉宮≫。何れも鎌倉屈指の紅葉の名所だ。
◆鎌倉宮 明治2年(1869)、明治天皇によって護良親王(後醍醐天皇の皇子、建武2年〈1335〉足利尊氏の弟 直義によって殺害された)を祀る為に建立された。鎌倉宮に紅葉を植えさせたと記載がある「鎌倉に紅葉を植る記」の石碑がある。
境内に100本のイロハモミジ、カエデ、ハゼ等が植えられ、「もみじの天井」、「もみじのじゅうたん」と呼ばれるほどに美しい。
◆瑞泉寺 【山号寺号】錦屏山(きんぺいざん)瑞泉寺 【創建】嘉暦二年(1327) 【宗派】臨済宗円覚寺派  【開山】夢窓礎石 
【開基】二階堂道蘊(にかいどうどううん) 【本尊】釈迦如来
山号の錦屏山は、寺を囲む山々の紅葉が錦の屏風のように美しいことから名付けられた。鎌倉幕府が滅び初代鎌倉公方として鎌倉入りした足利基氏(尊氏の子)は夢窓疎石に帰依し、当寺は以後代々鎌倉公方の菩提寺となった。塔頭も十を超え、関東十刹第一位の格式を誇った。
御詠歌にも「はるは花 あきはもみじを あやにせし にしきの山に のぼるうれしさ」と、紅葉の美しさが歌われている。
◆天園ハイキングコース
貝吹地蔵:元弘3年/正慶2年(1333)5月22日、新田義貞により鎌倉幕府は滅亡。北条高時の首を敵の手に渡すまいとこの地に逃げ込んだ北条方一行が道を見失った時、地蔵が吹くほら貝の響きが聞こえてきた。音に導かれて一行は無事に進み、谷間のどこかに首を埋葬したという。戦いが終わり、谷の上にこの時のお礼として地蔵像を安置したとされる。近辺には北条一門の墓所とされるやぐらも点在している。また、この近くには無窓礎石が建立したという徧界一覧邸(五山文学の僧が詩会など行った)というお堂がある。非公開だが、ここからの眺望は富士山が真正面に見え、秋には照山紅葉が素晴らしい。
◆獅子舞谷
2,000本以上ある紅葉と17本の銀杏の大木がある獅子舞谷は紅葉の美しさでは鎌倉一。漏れ日が差す紅葉の赤と銀杏の黄色の絨毯のコントラストは圧巻! 隠れた紅葉の名所だ。獅子舞という優雅な語源は山頂に獅子がうずくまったような形の大きな岩があったことによるらしい。
紅葉狩りを堪能した帰途は心地よい軽い疲れが残るかもしれない。ぐっすり眠り明日への生活への励みになることを願う。(もしかして徧界一覧邸から広がる絶妙な風景の夢を見るかもしれない)
                                  ≪鎌倉歴史愛好家 田嶋早苗≫

                                                   

上部へスクロール